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おいしいものは、食べてみないとわからない まずいものもおなじ
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--文章+絵日記です--

草原に点々としている木に毎回立ちよりながら進むぼくらは鳥みたいだと思ったが、
その歩みは鳥というよりはなめくじみたいだった。

ルフィナさんが右足を治癒してくれたお陰で、どうにか1人で歩けるようになったけど、
それでもやっぱり、どうしてもいつもより大分遅い。
治りきらない傷もまだいるし、治療に体力を使ってしまったのもある。

ふっと意識が飛ぶのを何度か経験した。貧血の類だと思う。
貧血なんて経験したことがないので、歩きながら寝てしまったかと思った。

何本目かの木陰で、ぼくらは休んでいた。
パドマは、隙を見せるとぼくを抱えていこうかいう視線をする。
あれは、流石に人気のある昼間の見晴らしのよい草原でやられたくはない。
ぼくは、痛みと疲れが大人しくなるまで、意識がはっきりするまで、パドマのそばにコテンと転がっている。

サバンナにいるライオンの親子を思い出したぼくは、パドマの太ももに顎を乗っけてみた。
パドマはぼくがテレビで観た親ライオンそのままに、子供には無頓着だった。

ぼんやりするのは、血がまだ足りないからだろうか。

ぼくからどれだけの血が出ていったのだろう。
ぼくにどれだけの、何人の血が入り込んだのだろう。
だれかの血は、今もぼくの体を巡っているのだろうか。
ぼくの心臓を通れば、ぼくの血になるのだろうか。

そんなことを考えながら、ぼくは間近にあるパドマの腹を眺めた。

嘘のように青い。
海や、空の青じゃない。
誰かが作った青。
真っ青な地球儀みたいだ。
陸がない。
海の底の陸だって許されない。
完璧な球体、その中に、人骨が、パドマの髄と骨盤がある。


なぜ、今まで気がつかなかったのだろう。


緩やかなカーブ。
揺りかご。
杯。
受け皿。
両手で何かを受け取るように。

その骨は、人間の赤子を孕むための、
孕むために生まれた、
女、
おんなの、
骨盤そのものだった。


緩やかなカーブ。
揺りかご。
杯。
受け皿。
両手で何かを受け取るように。

その骨は、人間の赤子を孕むための、
孕むために生まれた、
女、
おんなの、
骨盤そのものだった。

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