おいしいものは、食べてみないとわからない まずいものもおなじ
(漫画にしようと思いましたが、ネームきったらセリフばっかりだったので
結局こんなカタチに。すみません)
結局こんなカタチに。すみません)
「まいったな。
今日はこれから、楽しいイベントがあるっていうじゃないですか」
ぼくの目の前に立ちふさがっているのは、闘技大会を一緒に出ている、阿久津さんとシャロンさん。
今更サン付けする義理もないけれど…
最初、ぼくがあんまりにも弱いんで、苦情を言いに来たのかと思ったけど、そうじゃなかった。
ぼくらと戦って、負かして、物品を奪うためだ。人狩り、といえばわかりやすいんだろうか。2人はそれだったのだ。
ぼくは、自慢じゃないが、そういうのはすごく許せないタイプだ。
「ああいうイベントごとって、ぼくにとっては大切な収入源、稼ぎ時なんです。
かわいい女の子だって沢山見れるかもしれないのに…」
ああ、ぼく、今、いらいらしている。
ぼくは怒りの沸点は高いほうだが、熱くなるのは早い。
ようするに、怒りっぽくはないけど、細かいことですぐにフキゲンになる。
フキゲンである時間が長い。沸騰するまで、もしくは冷めるまでずっといらいらする。
ただ、いらいらとしても、ぼくはそれが顔に出なかった。
「それにね、これから、大事な再戦があるんです。
あの、なんとかボーンズっていう女性と戦わなきゃいけない。
一回おっぱらわれてるんです、ぼくら」
けれども、口調には出る。ぼくの自己分析によると。
パドマは2人をじぃと見つめている。にらんでいるつもりなのかもしれない。
パドマがにらみをきかせるよりも、無表情で見つめている方が効果があると思った。
ああいう目で見られたら、悪いことがしづらい。ウソもつけない。
「ぼく、あなた方みたいな方、嫌いです。
悪いことをしている自覚がなさすぎる」
ぼくは、彼らに説教でもするつもりなんだろうか。
でも、ぼくは口を紡ぐことをしたくなかった。だって、ぼくは本当に、こういう犯罪者が大嫌いなんだ。
こういう、堂々と犯罪まがいのことをするやつらがいるから、警察ってものが必要になる。
誰しもが良心的で、相手を思いやり、愛し合えるような世界であったら、警察なんていらないのに。法律なんてできないのに。裁判、検察、弁護、そういったものが全て無用のものになるのに。
やるならせめてコソコソやってほしい。みつからないように。
人でなく、影のように、霧のように、虫のように、つつましく、しなやかに行うべきなんだ。
ああ、そんなことよりも。ぼくがいらいらとしている何よりの理由は。
ぼくが。
(ぼくがどれだけ気を張って、相手を殺さないようにしているか、あんたらにわかりっこない)
言ってやりたかったが、その一言は飲み込んだ。喉が痛いと言っている。
飲み込んだ言葉は、肺と胃のどちらに入るのだろう、と関係ないことを思いついた。
ぼくは、本当はその一言だけ言ってやりたいんだ。
ただ、言うわけにはいかない。言ったら、もう彼らと同類になってしまう。
練習試合の相手から、遺跡内の動物たちまで、ぼくは「殺さないように努めている」。
懐に入って、喉をかききるか、腹を割いてやれば終わるのだ。
一撃で終わる。
ただ、そのあとは、食べなくちゃいけない。
生き物を殺したら、責任を持って、「回さなければならない」。
「戻さなくてはならない、あの輪の中へ」。
ぼくは今、輪の中に連れてゆく彼女を一人抱えている。
もう少しで食べ終わる。だから、それまでは殺してはいけないんだ。
「アキ」
パドマの声にはっとする。
続きの言葉を、パドマの横顔に目線で訴えたが、しばらく無言のあと、小さく
「あの阿久津という男、様子が変だと思わないか」
とだけ言った。
見る、阿久津さんを。
何か、面をつけて。
「いつのまに、お面したのかな?」
「わからない」
もしかしたら最初からつけていたのだろうか。
いや、そんなことはもう関係ない。
ぼくは、彼らにぼくの一日を台無しにされ、蹂躙されている最中なんだ。
相手がどうあろうが、ぼくには関係がないんだ。
「あんたたちを殺したりするものか」
ぼくは包丁を抜いた。
嫌いなやつを殺してあげて、食べてあげる道理なんてないのだから。
今日はこれから、楽しいイベントがあるっていうじゃないですか」
ぼくの目の前に立ちふさがっているのは、闘技大会を一緒に出ている、阿久津さんとシャロンさん。
今更サン付けする義理もないけれど…
最初、ぼくがあんまりにも弱いんで、苦情を言いに来たのかと思ったけど、そうじゃなかった。
ぼくらと戦って、負かして、物品を奪うためだ。人狩り、といえばわかりやすいんだろうか。2人はそれだったのだ。
ぼくは、自慢じゃないが、そういうのはすごく許せないタイプだ。
「ああいうイベントごとって、ぼくにとっては大切な収入源、稼ぎ時なんです。
かわいい女の子だって沢山見れるかもしれないのに…」
ああ、ぼく、今、いらいらしている。
ぼくは怒りの沸点は高いほうだが、熱くなるのは早い。
ようするに、怒りっぽくはないけど、細かいことですぐにフキゲンになる。
フキゲンである時間が長い。沸騰するまで、もしくは冷めるまでずっといらいらする。
ただ、いらいらとしても、ぼくはそれが顔に出なかった。
「それにね、これから、大事な再戦があるんです。
あの、なんとかボーンズっていう女性と戦わなきゃいけない。
一回おっぱらわれてるんです、ぼくら」
けれども、口調には出る。ぼくの自己分析によると。
パドマは2人をじぃと見つめている。にらんでいるつもりなのかもしれない。
パドマがにらみをきかせるよりも、無表情で見つめている方が効果があると思った。
ああいう目で見られたら、悪いことがしづらい。ウソもつけない。
「ぼく、あなた方みたいな方、嫌いです。
悪いことをしている自覚がなさすぎる」
ぼくは、彼らに説教でもするつもりなんだろうか。
でも、ぼくは口を紡ぐことをしたくなかった。だって、ぼくは本当に、こういう犯罪者が大嫌いなんだ。
こういう、堂々と犯罪まがいのことをするやつらがいるから、警察ってものが必要になる。
誰しもが良心的で、相手を思いやり、愛し合えるような世界であったら、警察なんていらないのに。法律なんてできないのに。裁判、検察、弁護、そういったものが全て無用のものになるのに。
やるならせめてコソコソやってほしい。みつからないように。
人でなく、影のように、霧のように、虫のように、つつましく、しなやかに行うべきなんだ。
ああ、そんなことよりも。ぼくがいらいらとしている何よりの理由は。
ぼくが。
(ぼくがどれだけ気を張って、相手を殺さないようにしているか、あんたらにわかりっこない)
言ってやりたかったが、その一言は飲み込んだ。喉が痛いと言っている。
飲み込んだ言葉は、肺と胃のどちらに入るのだろう、と関係ないことを思いついた。
ぼくは、本当はその一言だけ言ってやりたいんだ。
ただ、言うわけにはいかない。言ったら、もう彼らと同類になってしまう。
練習試合の相手から、遺跡内の動物たちまで、ぼくは「殺さないように努めている」。
懐に入って、喉をかききるか、腹を割いてやれば終わるのだ。
一撃で終わる。
ただ、そのあとは、食べなくちゃいけない。
生き物を殺したら、責任を持って、「回さなければならない」。
「戻さなくてはならない、あの輪の中へ」。
ぼくは今、輪の中に連れてゆく彼女を一人抱えている。
もう少しで食べ終わる。だから、それまでは殺してはいけないんだ。
「アキ」
パドマの声にはっとする。
続きの言葉を、パドマの横顔に目線で訴えたが、しばらく無言のあと、小さく
「あの阿久津という男、様子が変だと思わないか」
とだけ言った。
見る、阿久津さんを。
何か、面をつけて。
「いつのまに、お面したのかな?」
「わからない」
もしかしたら最初からつけていたのだろうか。
いや、そんなことはもう関係ない。
ぼくは、彼らにぼくの一日を台無しにされ、蹂躙されている最中なんだ。
相手がどうあろうが、ぼくには関係がないんだ。
「あんたたちを殺したりするものか」
ぼくは包丁を抜いた。
嫌いなやつを殺してあげて、食べてあげる道理なんてないのだから。
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